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TOMIYUKI KANEKO
金子富之
朱の盤(しゅのぼん)
2008 岩絵具、朱墨、砂、箔、薄美濃紙
200×450㎝
福島県会津、諏訪の宮に出没した妖怪です。若侍、山田角之進が朱の盆の正体を見極めようと夜の諏訪の宮に繰り出しました。そこには別の若侍がすでに居ました。「この土地には朱の盆とうい名高い化け物が出ると言うが貴殿はご存知か」と話しかけました。するとその若侍は「おおかたこの様なものでしょう」と振り返りました。顔一面朱を塗った様に赤く、髪は毛針、一本角、眼は星の輝き、牙の擦れる音は雷鳴。驚嘆した角之進はその場で失神しました。幾分かしてやがて気が付いて夜道を逃げると一件屋を見付け安心して中に居た女性に先程の話しをしました。するとその女は「その化け物はおおかたこんな顔でしたか」と言ってさっきの化け物の顔になりました。各之進は這う這うの体で自宅に逃げ帰り100日間寝込み亡くなりました。日本妖怪は武士や僧に苦杯を喫する事が多いが朱の盆は❝むじな❞の様な古典的な方法で勝利しました。繰り返し同質の何かが起きる負や正の連鎖反応は時代を厭わないらしい。
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